ビジネスウェルネス倶楽部Business Welness Club

仕事への熱量を育む!プロフェッショナル子ども大学

NHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」が、新企画として「子ども大学」を開催しました。

「未来のヒットメーカー」をテーマに商品開発に取り組む内容です。もちろん、小学生5、6年の子どもたち、が受講生です。講師は、湖池屋の代表取締役社長である佐藤章氏。いくつものヒット商品を手掛けた、まさに「ヒットメーカー」です。

子どもたちは、お菓子の商品開発を通して、モノづくり、マーケティングを体験していきます。その過程で多くの気づき、困難と向き合うことなどの学びを積み重ねていきます。

企画が通らない、「負ける」という経験や、全力でつくりあげた商品が消費者リサーチで「コテンパン」に不評を買い、1から出直しになる経験も。社会人になれば経験することですね。

そのたびに佐藤氏から子どもたちの心にささる「仕事の流儀」が飛び出します。
もっとも大きな流儀は「自分にウソをつかない」ということでした。子どもには難しいことです。何が「ウソ」なのかがわからないからです。

メンバーの颯太君は、授業に参加する前にクラスメイトにアンケートした結果から、お菓子に期待する味は「しょっぱい、すっぱい」だと決めて、事前課題(商品開発のアイデアをまとめてみる)を考えました。

メインは「梅」に絞り込んでもいました。佐藤氏は、「どうして、梅なの?」「クラスのアンケートの結果は、君が本当にしたいことなの?自分にウソをついてはいないかい?」と投げかけます。颯太君は悩みます。

一人っ子の颯太君は小さいころから身体が弱く、よく風邪や喘息を起こしていたそうです。一人っ子であることもあり、母親は「できたことを褒める」ことはしていたが、「なぜ?どうして?」と訊き出すことはしなかったそうです。

ですが、お母さんは「どうして、佐藤さんは、そこまで、本当にしたいことは?
と訊くのだろうね。きっとそのことが颯太にとって必要なことなんだよ」というように彼の背中を押します。立派なお母さんです!社会人にもこういうお母さんが必要なのかもしれませんが、現実は甘くはないですよね。

そして、彼は身体の弱い自分のためにお母さんが野菜たっぷりの豚汁を作ってくれていたことが、一番お菓子に取り入れたい要素だと考えます。そこから、彼の眼も表情も変わっていきます。

佐藤氏は「クラスメイトの意見やネット情報から商品をイメージすることは、自分が好きなこと、したいこと、ではなく、情報をコピペしているだけだということに気づいてほしい。コピペには熱がないんですよ」と語っています。

そこなんですよね。この問題は、商品開発に限ったことではなく、営業、経理、総務部門でも同じことです。前年踏襲、前例踏襲、マニュアルという「コピペ」で動くことには、「熱量」が低いのです。

研修会社がこの「仕事への熱量」を教えることはとても難しいことです。熱量は感情の高まりです。

ですが、それを支えるのは「仕事の実質」です。感情は拡散思考によりポジティブな想像力につながります。実質は収束思考によって論理的に構成されています。

社会人が仕事への熱量を体現できないのは、この相反する「想像・創造」と「論理」という思考能力の融合が難しいからです。

職場風土、上司のリーダーシップ、部下指導が、トップダウン型だとしたら、「思考」自体が停滞しているかもしれません。企業がその課題に気づき、「変える」ことに挑めるかが企業の未来を変えるのでしょう。

パナソニックが、松下幸之助理論を卒業して、クリエイティブなイノベーション路線に踏み切ったことは、その象徴的な例として考えることができます。

「想像・創造」と「論理」という思考能力の融合は、使い分け、ともいえるものです。

同時に社員が自分の想いと方向性を明確にすることによって、「熱」を発することが必要です。自分がしたいこと、なりたい自分に対して「熱」がなければ、企業はその人材を活かすことはできません。

ヒットメーカー佐藤章氏は、子どもたちに「自分や大切な人の気持ちを深く読み取り、考える力をつけていく、そして熱をもつ」ことを体感させています。それがコモディティ時代のマーケティングだと教えるかのように。

仕事への熱量を高めるためには、管理職のリーダーシップから変えたいところですが、時間がかかるのであれば管理職のミッションを変えるのも一つの方法です。

まずは、社員がセルフリーダーシップを理解し、仕事と人生への熱量を込めら
れるようにすることが、これからの人材育成の大切な流儀ではないでしょうか。

この「熱量」を帯びるチャンスを「転機・ターニングポイント」で実践する「ターニングポイントマネジメント」の書籍を9月21日に刊行します。女性の事例で書いてはいますが、全社員が取り組むべきセルフリーダーシップをベースとして、自分が変わっていく熱を感じながら行動を変えていくプロセスを描いています。

ぜひ、お読みいただければうれしいかぎりです。

◆◇◆ 9月21日刊行
【タイトル】 働く女性に贈る「ターニングポイントは風の中で」
~女性の活躍を企業の戦力にする~
https://www.kandi-pt.net/turning_point/
目次と一部抜粋は こちらのURLよりご覧いただけます。
是非、一度ご覧ください。
https://www.kandi-pt.net/turning_point_book/