ビジネスウェルネス倶楽部Business Welness Club

21歳が実感できないシステム分業の現実

カッコよさげなタイトルをつけてはみましたが、Generation gap?!と思うような出来事でした。ある研修で、久々に若手女子が多い時間帯がありました。余計なお世話と知りながらも、「営業や交渉をするような仕事をしていたほうが、これからは働き続けることができるよ」と休憩時間に声をかけてみました。

 というのも、「仕事で疲れている」とずっと話していた彼女たちのことが気になってしかたがなかったからです。どうやら、仕事に充実感が無い様子。
それでも、今年2度目の研修だったのですが、顔つきは社会人らしくなっていました。

「事務職は、どんどんAIやRPAで減っていくのだから、人にかかわる仕事、しかもAIがとって替われない仕事をしていないと、長く働けないよ」と言葉を続けると、明らかに「結婚したら、働きたくない」と言わんばかりのけだるい表情に。

 さらに「旦那の残業手当はつかなくなるから、共働きしないと楽しめないよ」と言葉を続けると、「まいるよね」という空気が漂いました。21歳から働きだした彼女たちにとっては、「今も、これからも、もっと遊びたい」という思いがあるのでしょうね。

 まぁ、正直でよいのかな。人生は長いから。そう思いながらも、システムと人間が仕事の分業をしていくための準備が整っていないことに不安を感じるばかりです。「5年後になくなる仕事」というようなタイトルの情報は気になって
読むのでしょうが、「自分のこと」と「ピン」と来ないのでしょう。

 2020年から小学校でのプログラミング教育が必修となります。中学校では、2012年より技術家庭科で「プログラムによる計測・制御」が必修化されていましたが、今年21歳の女子はその当時既に高校生。
世の中の変化を受けることなく、社会人になったということです。

 イギリスでは小学生でもアルゴリズムやプログラミング言語を学ぶそうです。それに比べると日本は、経済産業界がシステム化を先行する中で、働き手に対する教育が後手になっているということでしょうね。

 21歳で社会人になった男女で、現在23歳くらいの人たちは、システム化を肌に感じることなく社会に放り出されたことになります。自分の仕事がシステムにとって替わられることを実感できなくても、致し方がないことです。

 では、採用した企業側の教育はどうあるべきなのでしょうか?
人材教育において、プログラミング能力醸成による効率化、仕組化能力の向上を学ぶような研修が必要なのではないでしょうか?新しいシステムが導入されると、そのシステムに馴染むための教育は実施されます。

ですが、本当に必要なのは、そのシステムのトラブルやメンテナンスにもある程度の理解と解決策を想定できる社員能力の育成が必要なのではないでしょうか?

 世間では、システムエンジニアは引っ張りダコだと言われていますが、そう長くは続かないとも言われています。米国ではその時期は過ぎ、さらに進化した高度エンジニアだけが求められています。

本来、メンテナンスのためだけの社員を専門職として雇用することに懐疑的な組織も多く出現していると聞きます。おそらく、それが妥当なのでしょう。あるべき姿なのでしょう。システムを一般社員と隔離すること自体がナンセンスなのでしょう。

 社員教育は大変革の時期に来ています。あなたの会社の人材育成はすぐ目の前の未来を見ていますか?社員に求めるべき「個の能力」が変わるはずです。私たちは、大きなターニングポイントにさしかかっています。