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失敗の原因分析を指示することはパワハラか?!

 長い付き合いの後輩から、「部下に失敗した原因を分析して報告するようにと指示をしたところ、音沙汰がない、どうしたものだろう。真面目な社員なので、どう叱ったらよいものか」という相談を受けました。

 彼にしてみれば、優秀な社員を部下として預かった以上は、花を咲かせてやりたいと意気込んでいたのでしょう。

 彼は昔から、部活でも仲間想いの強いバレー部のキャプテンでした。ですが、彼の得意技は「敗因分析」。二度と同じ失敗を繰り返さない、というのが彼の口癖。と言いながら、彼はバツ2で、現在、独身ですが・・・・(笑)。

 このくらいの笑い話でもしながら「敗因分析」を指示したのなら、部下の方も気持ちが落ち着いたのでしょう。残念ながら彼は「二度と失敗は繰り返さない。
そのために、分析をちゃんとしておきなさい」とかなんとか、厳しく言ったのでしょう。

 こうして軽口気味にこの相談を受けとめているには理由があります。彼には「失敗したことを認める大変さ、苦悩」が理解できない、という残念な思考の癖があるのです。

 そのことは何度か彼にアドバイスしてきたのですが、「先輩、大丈夫です。男はつらいよ、ですから。ここで頑張らなくては、と思えるんですよ」という寅さん節で流されてきました。
 
 ですが、今回は言わざるを得ないと思いました。「失敗を失敗と認めることには、定義が必要なのよ。そうじゃないと認めることがなかなかできないもの。それだけ、夢中になって挑んでいたわけだからね」と伝えることに。

 「失敗した」と認めることができるようになるには、「あれは失敗だったね。今回はその経験を活かして、この結果を勝ち得たよ」という経験をしないと自分の心と頭を整理することはできないのではないでしょうか。

 私自身、失敗をしたことは数えきれないほどあります。でも、その場で「失敗した」と口にしたことは一度もないように思います。

 「他社の横やりさえなければ」「窓口担当者が代わらなければ」というように、失敗ではなく「妨害された」という認識でいたように思います。きっと今も。
おそらく他者の責任にしたい感情が動くのでしょう。

 彼に思わず言ってしまいました。「失敗したと認めることは難しいことだよ。
『つまづき(躓き)』とか『挫折』とか、まだまだ道は続く、というようなニュアンスで物事をとらえた方が、部下も気が楽になるよ。失敗の原因を分析しろ、ということは、それができない限りまた失敗する、という脅しのように聞こえるよ。パワハラじゃない?!」と。

 彼はパワハラという言葉に驚いた様子で「じゃ、どうしたらいいですか?!」と。いい年をして、まるでジャイアンみたいな顔つきでした(笑)。

 私の答えは1つです。「今後の仕事で活かせると思ったこと、今後は使いたくないと思ったこと、それを箇条書きにしておいてくれ。改善するアイデアがあったら、それもいれておいてくれ。次に活かそう」でよいのでは。

 失敗したときに「今後は、・・を改善し、成果につながるように努力します」と言わせることは何が目的なのでしょうか?上司がすべきことは、「今回の事案で学んだことは、活かさなければ損だ」というスタンスであることではないでしょうか。

 「ちょい躓き」「ちょい挫折」でも若手には重たいことです。ですが、それでも続く明日にモチベーションを持たせないことこそ、パワハラではないでしょうか(笑)

 「躓き」「挫折」もすべて人生の転機の兆しです。自分の成長に集中しながら、前向きに「はじめて」に挑んで行く社員を先輩・上司は見守りたいものです。

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